本文へ
  • English
ミューザ川崎シンフォニーホール
menu

ブログBlog

HOME  / ブログ / From_Muza / 佐山雅弘の遺作と、ベートーヴェン最後の弦楽四重奏曲(1月14日ランチタイム&ナイトコンサート60)

佐山雅弘の遺作と、ベートーヴェン最後の弦楽四重奏曲(1月14日ランチタイム&ナイトコンサート60)

1月14日のランチタイムコンサートナイトコンサート60では、ミューザ川崎シンフォニーホールのアドバイザーを務め、2018年に惜しまれつつ逝去したジャズピアニスト佐山雅弘がクラシックの作品として書き上げた最初で最後の作品となった「弦楽四重奏曲」(2018)と、ベートーヴェンが完成させた最後の弦楽四重奏曲「第16番」を取り上げます。

今回演奏するのはコンサートマスター水谷晃率いる東京交響楽団メンバーによる弦楽四重奏団。
佐山さんともつながりの深かったメンバーが今回の公演についてメッセージを寄せてくださいました。

今日の演奏を佐山さんに届けたい(東京交響楽団 コンサートマスター 水谷 晃)

佐山さんの弦楽四重奏曲を演奏することが決まった時、それがどんな作品であるのか心躍るような期待感と同時に、早く音にしなければならない焦りがありました。結果的に佐山さんの目の前でお聴かせすることは叶いませんでした。
ベートーヴェンの最後の四重奏曲には、人生を振り返った時の全てがあると思います。最終楽章での「これでいいのか?」との問いかけは生きる上で毎日、直面します。それに対し「これでいいのだ!」と前向きに受け止めて歩みを進めることこそ、実り豊かな人生をおくるために大切だということを教えてくれます。
僕にはそれが、病気と闘いながらも音楽の場ではいつも笑いが絶えなかった佐山さんの姿と重なるのです。
今日の演奏が天国の佐山さんにも届くことを願うばかりです。

音楽とはかくあるべし(東京交響楽団 第2ヴァイオリン・フォアシュピーラー 福留史紘)

佐山さんとは映画音楽のコンサートで何度もご一緒させて頂きましたが、いつも心から音楽を愉しんでいる笑顔は同じステージに立っている我々全員を幸せにしてくれました。
今回のプログラムはクラシック作曲家としての佐山さんの最初の作品であるOpus Oneとベートーヴェンの最後の弦楽四重奏曲Op.135。最初の作品と最後の作品という違いはあれど、どちらもそれぞれの音楽家としての人生を経た結果として最後に産み出された作品です。
常に新しい音楽を求めたベートーヴェンと新たなジャンルでご自分の音楽を表現しようとした佐山さん。どちらも作品の存在そのものが、我々に「音楽家とはかくあるべし」と教えてくれているように思います。

佐山さんも、ベートーヴェンも、人間(東京交響楽団 ヴィオラ首席奏者 青木篤子)

佐山さんと言えば、笑顔の人。演奏中も、休憩中も、いつも笑顔。そんなイメージでした。
逆に、私達はベートーヴェンの笑顔を見たことがありません。でも、ベートーヴェンの作品、特に奏者同士の距離が近い室内楽を演奏していると、ふとした瞬間に作曲者がニヤリとするのを感じるのです。
喜怒哀楽の表し方は人それぞれですが、佐山さんも、ベートーヴェンも、人間。
時空を超えてふたりの作曲家が出会い、冗談を言ってニヤリとする瞬間を、今日はどうぞお聴き逃しなく!

遊び心満載の音楽を共有したい(東京交響楽団 チェロ首席奏者 伊藤文嗣)

この度は、ベートーヴェンの後期作品と、そして何より佐山さんの弦楽四重奏曲を演奏できることをとても楽しみにしています。佐山さんとは、僕も東京交響楽団の一員として何度も共演させて頂きました。
普段オーケストラでは、ピアノが入らない編成時のチューニングは、オーボエがラの音を出してみんなで合わせますが、佐山さんが参加されるコンサート時は、佐山さんのピアノからラの音を取ります。その時必ずといって良い程ただではラの音をくれません。わざとラを含む複雑な和音を鳴らしたり、最後の音がラになる様なメロディを弾いたりするので、みんなは笑いながらチューニングすることになります。
いつもニコニコして楽しんでオーケストラのメンバーや音楽と向き合っていらっしゃった佐山さんの楽曲は、きっと遊び心満載です。
その曲に触れる楽しみを皆さんと共有したいですね。

2020年 1月14日 (火)
12:10開演 ランチタイムコンサート
19:00開演 ナイトコンサート60

ページトップへ