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サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

「動物の謝肉祭」などで知られる作曲家サン=サーンスは、すぐれたオルガン奏者でもありました。この交響曲はパイプオルガンとフルオーケストラがおりなす壮大な音響が味わえる人気の作品です。ところが木管楽器奏者には思わぬ難関が・・・!? 東京交響楽団クラリネット奏者の小林さんにお話を伺いました。

冒頭、淡い色彩のような16分音符の音楽には、リズムのトリックが……!
東京交響楽団
クラリネット奏者 小林利彰

G11

 パイプオルガンが登場するサン=サーンスの交響曲第3番は、どの旋律もとても美しい曲です。全2楽章ですが、各楽章がさらに前半後半に分けられるので、全4楽章のように考えられる構成が特徴です。
 私にとってこの曲といえば、冒頭から間もなくして始まる、連続する16分音符の音型ですね。東響に入団して間もない頃、この曲を演奏することになり、楽譜を見てビックリ! この部分の譜割が今まで想像していたものと違ったんですよ。今となっては笑い話なんですが、「ソソ・ファ♯ファ♯・ソソ・ミ♭ミ♭・ファ♯ファ♯・ソソ」(2nd Cl実音)だと思っていたところが、最初が16分休符! 「〈16分休符〉ソ・ソファ♯・ファ♯ソ・ソミ♭・ミ♭ファ♯・ファ♯ソ」だったんですねえ。
 しかもテンポは速いし、全てタンギング(舌で空気の流れを止めて音を切る奏法)。初日の練習では皆についていけず、かなり落ち込みました。速いパッセージに対応できるダブル・タンギング(「tu-ku-tu-ku」と発音)を使えば多少は楽になるのでしょうが、私が留学していたウィーンでは、当時ダブル・タンギングは御法度。師匠ペーター・シュミードル氏はウィーン伝統のシングル・タンギング(「tu-tu-tu-tu」と発音)の名手であるためダブル・タンギングを否定し、弟子にも禁じていました。ところがウィーン・フィルに見事なダブル・タンギングをする人物が現れました。アンドレアス・ヴィーザーといい、私と同じシュミードル門下です。彼のダブルはシングルと全く区別がつかない歯切れのよさ。完璧です。ここにウィーンの伝統が覆された訳です。話はそれましたが、私も最近はダブルで練習するようにしています。
 この曲のクラリネットで注目していただきたい箇所は第1楽章後半、オルガンに続きクラリネット、トロンボーン、ホルンが一緒に旋律を演奏する箇所です。この3つの楽器の組み合わせは珍しく、独特な響きがします。おそらくサン=サーンスは、オルガンの響きをイメージしたのではないでしょうか。
 この曲の中で私の好きな箇所は、第2楽章後半。オルガンが力強く和音を弾いてからオーケストラが盛り上がるところです。華やかでいいですね。私が東響に入団した頃は、電気的にパイプオルガンの音を作り、スピーカーを使って出していました。しかし最近ではミューザのように、日本でもパイプオルガンのあるホールが増え、この曲が本物のパイプオルガンで聴けるようになりました。当然ホールによってオルガンの音色が違いますから、会場ごとに違う「響き」を味わえるのもこの曲の醍醐味かもしれません。(友の会会報誌「スパイラル」Vol.23より転載/取材:榊原律子)

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団
名曲全集第118回 期待に胸高まる、親子鷹の共演

2016. 6.12 (日) 14:00開演
【出演】
指揮:鈴木雅明
オルガン:鈴木優人
【曲目】
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」
サン=サーンス:交響曲 第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」
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