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ピアニスト岡田奏さんインタビュー その2(5月28日「名曲全集」)

2017.05.26

From_Muza

前回に引き続き、5月28日に開催する「名曲全集 第127回」に出演するピアニストの岡田奏さんに今回のコンサートについて伺いました。
インタビューその1はこちら

(c)Riho Suzuki

インタビュアー 小室敬幸(作曲・音楽学)

――15歳から10年間フランスで研鑽を積まれた岡田さんですが、レパートリーはやはりフランス音楽が中心なのでしょうか?
やはり「フランスもの」は沢山弾いてきていますね。ドビュッシーなどの近現代のものだけじゃなく、学校ではピアノフォルテ(ピアノの古楽器)やチェンバロの授業やレッスンもあったので、ラモーやクープランといったバロック音楽も演奏します。
「フランスもの」はもちろん弾いていきたいし、得意な分野であるんですけど、「ロシアもの」もラフマニノフとか昔から沢山弾いてきたので引き続きやりたいというのもあります。ドイツの建築物みたいなすごく大きな作品にも興味があるので、ブラームス、ベートーヴェン、バッハ辺りも力いれていきたいです。
フランスにずっといると、ベートーヴェン弾く時に「あんまりイメージないね」とかって言われることが多いんです(笑)。だから、そこも固めたいというか、レパートリーにしっかりと組み込んでいきたいんです。フランス人はあまり「ドイツもの」をやらないイメージがあるようですが、実は凄く素晴らしい人たちがたくさんいるし、その人たちからの流れもちゃんと受け継いでいけたらなと思っています。

――そうした先人たちが築かれてきたものを受け継ごうと考えていらっしゃるのですね。以前、受けられていたインタビューでは一番の憧れのピアニストとしてマルタ・アルゲリッチさんの名前を挙げていらっしゃいましたが、岡田さんは、ある曲ではアルゲリッチのような火を吐くような演奏をされたかと思うと、他の曲では別人のような演奏だったりと振り幅が大きいことに驚かされます。ご自身としては、どう思っていらっしゃいますか?
「毎回会うたびに服装も違うので同じ人じゃないみたい」っていうのを、よく言われるんです(笑)。自分の中に色んな側面があるので、それを曲によって幅を広げ、「今日はこういう自分でいこう」っていうのは普段から意識していますね。だから感じ方とか表現の仕方というのが毎回違うのかと思います。

――さて、5月28日(日)の14時から東京交響楽団とサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」を共演されますが、少し珍しい演目ですよね。コンサートで弾かれるのは初めてでしょうか?
はい、そうなんです。初めてオーケストラとは共演させていただくんですけど、基本的にサンサーンスはすごく馴染みは深いです。室内楽もこれまで沢山弾いてきました。この曲はエジプトの匂いが凄くしますけど、どちらかというと響きの感じだったりとかもすごくフランス的です。

――岡田さんから見て、サン=サーンスの音楽の魅力はどこありますか?
やっぱり和声の移り変わりの色の多彩さですね。それはフランス音楽全般がそうだとも言えますが、変えようと思って変わるものではないというか、自然な流れのうちに「ああ、こう変わっていくんだな」っていうのを客観的に聴きながら弾くという感じなんです。そういうのが随所にあるので本当に魅力的でいつも意識しているのですが、でも無意識のように聴かせるっていうのが魅力だなと思います。

――無意識のようにというのは難しさでもありますよね。
「やっちゃってる感」が出ないのが大事なんですよ。心の移り変わりですとか、温度の移り変わり、自然の中にあることを自分がその曲に取り合わせていくんです。

――フランスの音楽を演奏する際には「エスプリ esprit」(フランス人の気質)が大事だとよく言われますが、岡田さんはエスプリをどのようなものだと捉えていらっしゃいますか?
空気、水、自然……絶対に変わらないものはないとフランス人はいうんです。だから人も変わるし、建物も古くなったり、使えなくなったりとか、絶対永久に同じ状態でいることはない。その虚ろな移りかわりを楽しむのがエスプリなのかなと思います。

――28日の本番が今からとても楽しみです!興味深いお話をありがとうございました。

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第127回

2017年5月28日 (日) 14:00開演

指揮:ヘルムート・ライヒェル・シルヴァ
ピアノ:岡田 奏

ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」から ペルシャの奴隷たちの踊り
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 「エジプト風」作品103
リムスキー=コルサコフ:交響組曲シェエラザード

当日券あり! 13時から販売します。詳しくはこちら

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