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(特別寄稿)ザ・ベース・ギャング参上!【11/6公演】

2025.10.09

From_Muza

世界で注目を集めるアーティストがスペシャルな音楽をお贈りする「MUZAスペシャル・ナイトコンサート」。
11月は、イタリア発の凄腕コントラバス四重奏団、ザ・ベース・ギャングが登場します。
超絶テクニックと抱腹絶倒のユーモアで、世界中の音楽ファンをとりこにするザ・ベース・ギャング。
その魅力とは——2023年にザ・ベース・ギャングと共演したNHK交響楽団コントラバス奏者矢内陽子さんによる特別寄稿です。

わたしは見た!ザ・ベース・ギャング 魅力のヒミツ

文◎矢内陽子(NHK交響楽団コントラバス奏者)

ザ・ベース・ギャング——コントラバス界で知らぬ者はいない伝説的グループ。

彼らの魅力は数えきれませんが、まず特筆すべきは、「コントラバスに興味がない方」にも楽しんでいただけるコンサートであるということ。抱腹絶倒のユーモアと、観客を喜ばせることに徹したサービス精神。客席は毎回、笑いと驚きに包まれます。

全員が現役または元オーケストラ奏者という実力派。そんな彼らが、なぜこれほど観客を惹きつけるステージを創り上げられるのか——以前から私は、その舞台裏に強く興味を抱いていました。

リハーサルに立ち会って、その答えの一端を垣間見ました。舞台上での華やかさからは想像できないほど、彼らはストイックで真摯。プロなら当然と思われるかもしれませんが、ザ・ベース・ギャングほど“ギャップ”のあるベーシストたちを、私は他に知りません。

既に各地で公演を重ねているにも関わらず、さらなる完成度を求め、細部に至るまで徹底的にリハーサルを行う姿。そこに“エンターテイナーの顔”はなく、ただ音楽に向き合う真剣な職人の姿がありました。

そして、彼らの真骨頂は、誰もが目を奪われる超絶のテクニック。その圧倒的な演奏技術は、単なる巧さを超え、コントラバスという楽器の可能性を極限まで引き出しています。高速パッセージも、重厚な響きも、時にユーモラスな小技までもが自由自在。技巧と芸術性が見事に融合しているのです。

ザ・ベース・ギャングのアーティスト写真。黒をベースにした自然体の写真。

さらに魅力的なのは、4人それぞれが異なるキャラクターと役割を担っていること。私見ではありますが——

  • 徹底的に演奏で魅せる人
  • 素晴らしい編曲とリズム感でグループ全体をリードする人
  • 演奏を楽しみながら盛り上げ役と巧みに絡む人
  • そして、誰よりも会場を沸かせる“盛り上げのプロ”

この絶妙なバランスが、彼らのステージを唯一無二のものにしています。

ザ・ベース・ギャングに憧れるコントラバス奏者は多く、私もその一人でした。一昨年、共演のお話をいただいたときは、飛び上がるほど嬉しい反面、不安もありました。なぜなら彼らは、“奏者”という枠を越えた真の“エンターテイナー”。オーケストラ中心の活動をしている私にとって、彼らとの共演は未知の挑戦でもありました。

しかしその不安は、ファーストコンタクトで一瞬にして吹き飛びました。圧倒的な存在感に緊張しつつも、それ以上にあたたかくフレンドリーに迎えてくれた彼らの人柄に心打たれたのです。こうした人間的な魅力もまた、音楽に表れているのだと思います。

コントラバスの可能性を広げてきた偉大なヴィルトゥオーゾたちは数多く存在しますが、これほど“楽しさ”と“驚き”を与えてくれるグループは、他にいないでしょう。「コントラバス=地味、よく分からない」——そんなイメージをお持ちの方にこそ、ザ・ベース・ギャングのステージをぜひ体験していただきたいのです。彼らは、コントラバスに興味のなかった人をも惹きこみ、心から楽しませてくれます。

そして今回、ミューザ川崎シンフォニーホールという極上の音響空間で、彼らの奏でるコントラバスがどのように輝きを放つのか——私自身、心から楽しみにしています。

(ミューザ川崎シンフォニーホール友の会会報誌「SPIRAL」vol.86より)

2023年、ザ・ベース・ギャングと共演したときに。中央が矢内さん。

MUZAスペシャル・ナイトコンサート
ザ・ベース・ギャング・ナイト


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