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ミューザ川崎シンフォニーホール
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パイプオルガンのメンテナンス実施しました! その3

2019.06.12

From_Muza

ミューザの休館中にパイプオルガンの整音作業を行いました。
実は、2月19日には、すべての作業を終え、オルガニストの確認も行われました。
素晴らしい音色の変化に、オルガニストも感激するほど!
休館明けのお披露目がますます楽しみになりました。

さて、本日は前回に引き続き、パイプにどのような変化を加えたのかを詳しく見ていきたいと思います。

今回ご紹介するTrompete 16’は、リード管と呼ばれるパイプ群。
名前のとおり、トランペットの音を模して作られているパイプですが、仕組みはオーボエなどのリード楽器に近い構造になっています。
【写真】トランペット管。パイプの先に、リードを震わせる部分がついている。
パイプの下の部分が、少しだけ太くなっていますが、この部分に音を鳴らす仕組みが納められています。

分解するとこんな形。
【写真】リード管内部を調整する横田さん。パイプを分解すると、音が鳴る機構が見えます。
タング(舌)というリードが振動することで、ちょっと鼻が詰まったようなリード管独特の音色が出るのですが、そのタングの振動の仕方を調整することで、音色や音の出るタイミングの調整を行います。

どんな作業をするかというと……。
【写真】金色の2cm×16cmほどの板がタングです。
この板の曲がり具合を調整するのです。

まずはタングが現在どのくらい曲がっているのかを確認。
そして、しごくことで適切な位置にカーブを作っていきます。
【写真】カーブを作っているところ。

現在、ミューザの楽器の中には、カーブの具合を確認するためのちょっとした仕掛けがあります。
それが、こちら。

ただの蛍光灯でしょう? と思うかもしれませんが、蛍光灯に引っかかっている黒い2本の輪っかがポイント。
【写真】特別な道具に板をあわせ、カーブの具合を確認。
この蛍光灯の下でタングを見ることで、金属板に二本の影が映り込みます。
その影の距離感がどう変化するかで、どのようなカーブができているかを確認するのです!

カーブをつけすぎると発音が遅くなり、逆になさすぎると、音の質が悪くなるなど、どのようにカーブを加えていくかは、これまでの経験値に依るところが大きいといえます。
それに加えて楽器の特性もありますから、本当に果てしない作業です……。

また、オルガンのリード管は、リードが金属板ですから、口で吹くとその水分で錆びてしまいます。
感覚的に調整を行い、そして楽器に設置し直して音を確認する……。
ミューザのオルガンは規模が大きいので、鍵盤を押すためだけの人も必要です。二人三脚で作業を進めていく必要があります。

さらにさらに、Trompete 16’の「16’」とは16フィート、つまり長さを表しています。
16フィートは5メートル弱。一番長いパイプは5メートルありますよ、ということです。
前回ご紹介したMixture群とは違い、全体的に長く大きいパイプが多いTrompete 16’群。
長いパイプの整音作業でも、やはりパイプを外す必要があります。

この写真、何を行っているかわかるでしょうか?
【写真】階下から伸びるパイプを外す横田さん。
ミューザの大オルガンは内部が4階建てになっているのですが、今回作業しているTrompete 16’のパイプ群は主に2階に設置されています。
ですが、5メートルもの長さのパイプは、1フロアの高さでは収まり切りません。
1階の途中から立ち上がって設置されています。
周囲のパイプも取り外し、二人がかりで持ち上げていきます。

外すだけでも一苦労のTrompete 16’のパイプたち。
ですが今回の作業で、発音の遅さが改善され、音色の広がりもより豊かなものになりました。

パイプオルガンのメンテナンス実施中! その1はこちら
パイプオルガンのメンテナンス実施中! その2はこちら
パイプオルガンのメンテナンスを実施しました! その4はこちら

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