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ヨーロッパの都市文化に触れ、オルガンを知る―MUZAミュージック・カレッジ第1回

2021.02.04

From_Muza

2月8日「MUZAミュージック・カレッジ第1回」のテーマは《都市生活のなかのオルガン》。
都市と楽器の関わりと言われても、ピンと来る方は少ないかもしれません。今回はヨーロッパの都市文化と音楽について、なるほどと思うお話を盛りだくさんの話題と図像資料、そして大木麻理さんのポジティフ・オルガンの演奏とトークを交えながらお贈りします。
講師の白沢達生さんから、プロローグのような文章が届きましたのでぜひお読みください!

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ヨーロッパの町の旧市街にある、古めかしい教会――扉をギギ、と開けて中に入れば、自動車だらけの外の世界とは気配の違う、何百年も前に調えられた内装の世界。ひんやりした床にコツコツと靴底が当たる感触を味わいながら少し歩いてみて、ふと見上げれば壁面装飾というよりむしろ大きな家具のような佇まいで、箱の中に金属の管が何筋も縦に並べられているパイプオルガンの姿が。

かたや、欧米の鉄道駅のほとんどを凌ぐ乗降者数を誇る極東首都圏の現代的なターミナル駅のそば、巨大な近代建築のなか長く見通しの良いエスカレータを上った先にあるコンサートホール。町の喧騒とは異なる落ち着いた空間でチケットをやりとりし、席はどこか……と思いつつ中に入れば、すぐに目に入るステージ奥の巨大な金属装置――これもパイプオルガン。

演奏する音楽は同じでも、この姿のあり方はなんと大きくかけ離れているのだろう。そう感じる方も少なくないかもしれません。それぞれの楽器とともに過ごしてきた人々の暮らしも、数百年前のヨーロッパと21世紀の日本とでは相当に異なっています。そもそも鉄道網もなく、飼葉代を気にしながら馬を使うよりも速く移動できる船が今よりずっと重要で、水道ガス電気のいずれも存在しない、夜を照らす明かりが火事の危険とセットだったのが数百年前。狭い電車の中でもスマートフォン越しに映画を観るなど夢のまた夢、録音技術すらない世界では、演奏者がいなければ音楽は(料理人不在で思い浮かべるご馳走のように)頭の中の空想で鳴らすしかなかった……実演される音楽にふれるということの意味が、当時と今とでは大きく違ったのです。

でも、オルガンという楽器がたどってきた歴史を辿ってゆくと、ミューザ川崎のオルガンは知れば知るほど、ヨーロッパの旧市街の教会とそっくりな存在だったことに気づかされるのです。大木麻理さんの実演とお話にいろいろな絵なども交え、お話しいたします。

白沢達生(翻訳家・音楽ライター)


今回はポジティフ・オルガンの演奏でお楽しみください

MUZA ミュージック・カレッジ 第1回 《知る―都市生活のなかのオルガン》

2月8日 (月) 14:00開演 会場:ミューザ川崎音楽工房 市民交流室
講師:白沢達生(翻訳家・音楽ライター)
演奏:大木麻理(ポジティフ・オルガン/ミューザ川崎シンフォニーホール ホールオルガニスト)

全席自由 3000円(”東響米”のおみやげつき)

お申し込みはこちらから

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