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ワークショップレポート「みずいろのスマイル」ができるまで その③

ワークショップレポート その1
ワークショップレポート その2 から続く

第3回目(6月15日)
前回作った「パーティソング」を音楽家たちが演奏する中、生徒たちが入ってきて今日のワークショップが始まる。今回も、ファシリテーターの2名の音楽家と、東京交響楽団の楽団員3名が参加した。

イマジネーションと共感力が豊かで、積極的な生徒たちの発想とインスピレーションを生かすために、ストーリー仕立てのワークを試みる。
それは「好きな動物に変身して、公園にピクニックに出かけよう!」というもの。
このお題に、前回までの活動でもタンバリンをとても積極的に演奏していた生徒のたいきが、黙って寝転んだ。先生が「猫だそうです」と伝える。それを皮切りに、はねるウサギ、おおきくてゆったりしたゾウ、愛嬌のある子犬が登場する。
動物になったつもりで動くと、音が追いかけてくる。
音楽家が演奏するアイーダの凱旋行進曲にのせて、ピクニックに出かける。動物のパレードだ。
散歩の途中では嵐に遭遇。迫真の嵐の音楽、パーカッションから飛び出す豪雨と雷鳴にびっくりして泣き出してしまう生徒も。
雨あがりには、泣き顔もはれて、笑顔が戻った。

公園に着いた。ピクニックでは、大好きなケーキの絵にデコレーションをする。リズムがスポンジ、クリームのハーモニーを塗って、みんなの考えた果物やトッピングをメロディにしよう、と紙をくばると、皆熱心に色を塗り始める。色とりどりのフルーツや花で彩色されたケーキができあがると、生徒たちはそれぞれの作品にうなり、拍手や歓声があがる。
そのケーキが、音楽になっていく。
音楽家はスポンジをチェロとマリンバ、クリームとトッピングをヴァイオリンで即興表現する。
私は太鼓がいい、とジャンベを抱え込み、リズムをたたき始める生徒。
次々にヴァイオリンやチェロが加わり、手拍子や、カスタネット、トーンチャイムで、デコレーションケーキに見立てた音楽を楽しむ生徒たち。
あっという間の冒険を終えて、生徒たちは「あー疲れた!」と満足そうに帰って行った。

★ベンからのフィードバック
経験を積めば積むほど、自分の知らないことに気付けるようになり、課題もどんどんみえてくるものです。このワークショップの目標は、参加者から表現を引き出すことももちろんですが、生徒、先生、ファシリテーター、関わる全ての人が音楽を楽しむこと。生徒たちが楽しんでいる様子は、ビデオを見ていてとてもよくわかる。ファシリテーター自身も音や音楽をぜひ楽しんで!

★ファシリテーター2人の感想

●池野博子(声楽家)
前回はとてもよいことができたんですよね。東響の音楽家の皆さんのお力添えにより、子どもたちが大興奮して帰っていきました。つまり第3回目の今日への期待値も上がり、私たちにとってはハードルが上がってしまった。
ですが準備の時間も短く、自分のなかで多くの葛藤がありました。
それは子どもたちの特性を把握できる若干の余裕が出てきたことによる裏返しでもあって、どうやったら一人一人の強みをいかして、スポットライトが当たる瞬間をうみだせるだろう…という自分に対するミッションの重さを感じるようになったということですね。
デザインしたワークショップのプランをいかにこなすかを考えていた初回とは大きな違いです。

あとは、子どもたちから出てきたものに対していかに新鮮に反応できるかというのも毎回挑戦ですよね。
前回は「アイーダ」の物語を子どもたちにわかるように3時間の内容を10分の音楽物語に、しかもインタラクティブにまとめたのですが、これを作るにあたり「アイーダ」という作品を改めて研究しなおしました。新たな気づきがたくさんあって、これまでも感じていたことですが音楽ワークショップに携わるということは音楽家としてのパフォーマンスをあげるということを強く強く感じています。
器楽の方とご一緒させていただくと、楽器の特性や器楽奏者という人についても初めて知ることも多く、もっともっと知りたい!と思っています。

それにしても子どもたちが飛びついてきてくれたり、名前を覚えていてくれたり。単純にそういう人との関わりはうれしいですよね。
彼らとわたしを結びつけてくれたのは参加型の音楽活動です。音楽をすることで人との繋がりを強化するという研究結果があるのですが、それを実感しますね。

●大松暁子(ヴァイオリニスト)
回を重ねて、生徒たちは、楽しいことがあるなと思って来てくれるようになったと感じています。はじめは構えているというか、なんだろう?と不思議そうにしている様子がありました。
そして、自分自身は何をすればいいのかがわかってきました。池野さんともワークショップをするのは初めてなので、最初はお互いに何をしようとしているかがわからないことも多かったと思います。話し合いを積み重ねていることもあり、徐々にお互いの考えていることがわかるようになって来たと感じます。

(次回に続く)

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