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ノットが散りばめた作曲家を繋ぐキーワードから聴こえてくるものとはーこれぞプログラミングの妙!(10月「名曲全集」)

2017.09.08From_Muza , 「スパイラル」バックナンバー , 名曲のツボ


演奏会を「常に心躍るものにしたい」と語るジョナサン・ノット氏は、その言葉通り、よく知られた楽曲であっても、その取り合わせの妙によって新たな価値に気づかせてくれるプログラムをたくさん披露してきました。10月22日に行われる「名曲全集」も、一言でいえば「変奏・ヴァリエイション」の楽曲を集めたプログラム。ですが、その取り合わせには、ノット氏らしい鋭い洞察が垣間見られます。今回は東京交響楽団事務室長の辻敏さんにその奥深いプログラミングについて紐解いていただきました。

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第130回
2017年 10月22日 (日) 14:00開演

【出演】
指揮:ジョナサン・ノット(東京交響楽団音楽監督)
オルガン:石丸由佳
ピアノ:児玉 桃
【曲目】
リスト:バッハの名による前奏曲とフーガ S260/R381(オルガン独奏)
シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲 作品31
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 イ短調 作品43
ラヴェル:ボレロ

J.S.バッハの偉大さ B-A-C-H


1曲目のリストはオルガンの独奏曲。これをオーケストラの定期演奏会に持ってくること自体が大胆な発想。しかも2曲目のシェーンベルクにも共通して『B-A-C-H』音型(B♭、A、C、Bの音型)が使われています。「偉大なるバッハへの敬愛の念を表すためですが、特にシェーンベルクらが使う十二音技法では、バッハの作曲技法が顕著に現われます。バッハが確立したフーガをはじめとした多くの作曲技法は、遠く時を隔てた21世紀の音楽にも確実に引き継がれています。」(ノット氏談) リストとシェーンベルクがバッハでリンクする訳です。

無調を目指したリスト


ロマン派に分類されるリストですが、実は1885年に「無調のバガテル」を作曲し、無調宣言をしています。しかしながらシェーンベルクの十二音技法とは違い、移調の限られた旋法が用いられるに留まりました。それでも、今回の4人の作曲家の中では唯一1800年代のみに生きた作曲家であり、時代を考えると大変興味深いものです。こんなところにも、リストとシェーンベルクを繋ぐキーワードが存在します。

余談ですが、リストは1831年にパガニーニの演奏に触れる機会があったようで、大変な感銘を受けたとのことです。

1928年


シェーンベルクの「管弦楽のための変奏曲」とラヴェルの「ボレロ」は、共に1928年に作曲されました。かたや十二音技法を駆使した大変複雑な曲、かたや終始同じリズムに乗せて同じメロディを繰り返す大変シンプルな曲。ノット氏曰く「この両極に位置する様な2曲が、同じ年に作曲されたこと自体に、驚きを隠せません。1928年前後はクラシック音楽にとって、新旧が交錯する、正に激動の時代であったと言えます」。2曲の対比が明確に聞き取れます。

伝統を重んじたラフマニノフ


リスト、ラヴェルそしてシェーンベルクは、それぞれ違いはあるものの、伝統と革新・実験の狭間で作曲をしていました。それに対して「ラフマニノフは、ラヴェルやシェーンベルクとほぼ同じ時代を生きましたが、全ての作品が調性の枠組みの中で書かれ、伝統的なロマン派の語法からは一切外れることの無い作曲家でした。」(ノット氏談) そのメロディックな作品は一部の評論家から酷評されることもありましたが、多くの聴衆から支持されました。

実験としてのボレロ


ラヴェルは、調性を固持し、伝統的音楽様式を守った上で、スペイン民謡、ジャズなどの要素を取り込んだ、オーケストレーションの天才でした。しかし、このボレロに関してはラヴェル自身「特別に限定された方向での実験的な作品である。」と言及しています。「非常にシンプルな曲ながら、大胆な発想による曲」(ノット氏談)で、ラヴェルにとっては「実験」の一つでもありチャレンジだった訳です。「ボレロを変奏と呼んで良いのか?勿論疑問はありますが、このプログラムの中ではその実験的な面がより強調されて聞こえるのではないか」とはノット氏の談。


伝統か革新か?無調音楽か調性音楽か?共通性はあるのか?etc…1928年にタイムスリップした気持ちで是非耳を傾けてみてください。正解は一人一人が探してください。きっとこれまでと違ったボレロが響いてくるはずです。

(文・東京交響楽団 事務室長 辻敏)

公演詳細・チケット申し込みはこちら

リトルミューザ活動報告(あった)

2017.09.06リトルミューザ


リトルミューザのページへ戻る
今日は、僕たちが企画するパブリックプログラムのヒントを見つけるために、街歩きをしました。
川崎の街にはどんな人(年齢?会社員?家族連れ?)が多いか。
ミューザまでどうやって(自転車?バス?)来るか。
プログラムに使えそうな場所はあるか。
ミューザの中で使えるところを確認しながら街歩き。
街歩きを終えてミューザに戻ってから、みんなで話し合って、ミューザに来てほしい人(ターゲット)を4つのグループに分けました。
【写真】見てきたものや話し合った内容が書かれたホワイトボード。

①知らない人(オペラを見たことがない人)
②知ってる人(オペラをもっと知りたい人)
③海外の人(日本語以外の言葉を話す人)
④来られない人(遠くに住んでいる,障害があって来づらい,等)

そしてどのターゲットに対しての企画を組みたいかグループに分かれました。
見てきたものを参考に、さらにターゲットを検討しました。

これから10月1日のプレゼンに向けて準備します!

弟子・佐藤友紀が語る 名トランペット奏者 マティアス・ヘフス

2017.08.26From_Muza


「トランペットを吹く」のではなく
「音楽を奏でる」スーパープレイヤーです -東京交響楽団首席トランペット奏者 佐藤友紀

世界の名だたるトランペット奏者たちが、神様のように崇拝するスーパープレイヤー。マティアス・ヘフス先生は、世界最高峰のトランペット奏者です。抜群のテクニックと素晴らしい音色だけでなく、音楽的にもさまざまな引き出しを持っています。レパートリーはトランペットの曲のみにとどまらず、木管楽器のソロの曲など何でも演奏してしまうので、その姿は「トランペットを吹く」というよりもまさに「音楽を奏でる」アーティスト。人柄も素晴らしく、それが彼の音色にすべて表れています。
私はハンブルク音楽大学に3年間留学し、ヘフス先生に学びました。一緒に楽器を吹いて食事をし、練習や本番から多くのことを学びました。2014年には一緒にアルバム(※)も録音しましたが、今も私は彼の大きな背中を追い続けています。
最近のヘフス先生は、オーソドックスな作品はもちろんのこと、作曲家と連携して自分の表現したいことを作品にしてもらうという、彼ならではの活動を展開しています。そのパートナーがケルシェック。彼はヘフス先生の魅力を最大限に引き出す曲をいくつも書いていて、2016年に世界初演されたばかりの「ラッパ達が鳴り響く」もそのひとつです。ケルシェックの作品はヘフス先生でないと演奏できない難しいパッセージが満載で、「ラッパ達が鳴り響く」はバンダへの要求も高そうです。私たちにとっても大きな挑戦となることでしょう。

「スパイラル」vol.53(2017年7月1日発行号)より転載/取材・文 榊原律子

※ 戦いの組曲 – 3本のトランペットとオルガンによる饗宴(ヘフス/辻本憲一/佐藤友紀/シュミット)
http://ml.naxos.jp/album/OVCC-00120

《プロフィール》
マティアス・ヘフス Matthias Höfs トランペット
19歳でハンブルク州立歌劇場の首席トランペット奏者に就任、オーケストラの活動中に国際コンクールでの優勝など、数多くの音楽賞を受賞した。2000年にハンブルク音楽大学の教授に就任、客員教授としても各国の音楽大学に招聘されている。現在、世界最高峰のトランペット奏者として世界各国からソリストとして招かれ、彼のために作曲された作品も多く現在までに11枚のCDがリリースされているまた。金管アンサンブル「ジャーマンブラス」のメリーダーとして、更に編曲者としての手腕も高く評価されており、CDには自ら編曲した曲も数多く収録されている。
東京交響楽団とは2016年1月定期に「ケルシェック:トランペット・ダンス」と「ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番(指揮:秋山和慶、Pf :小曽根真)」に初登場し、驚異のテクニックと安定感に聴衆は酔いしれた。

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団
名曲全集第129回

2017年 9月23日 (土) 14:00開演

指揮:ヘルマン・ボイマー
トランペット:マティアス・ヘフス

ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」
ケルシェック:ラッパは鳴り響き(仮題・日本初演)
ヤナーチェク:シンフォニエッタ

公演詳細

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ミューザ川崎シンフォニーホール

TEL044-520-0200

(10:00~18:00/土・日・祝も営業)

定休日:
年末年始12/29~1/3
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