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《マタイ受難曲》は、瞑想的、個人的な作品〜鈴木雅明《マタイ受難曲》講演会レポート(Text 加藤浩子)①

2022.03.20From_Muza


3月10日に友の会限定企画「鈴木雅明が語る《マタイ受難曲》」講座を開催いたしました。その模様を、音楽評論家・加藤浩子さんによるレポートでお読みください。(全2回)


15分で完売だったという。
去る3月10日に、ミューザ川崎の市民交流室で行われた、鈴木雅明氏の《マタイ受難曲》をテーマにした講演会だ。「こんなことは初めて」だと、担当者も目を丸くしていた。
ご存知のように鈴木雅明氏は、古楽オーケストラ&合唱団「バッハ・コレギウム・ジャパン」(以下BCJ)を創設した指揮者、オルガニスト。鈴木氏とBCJは、ここのところ毎年、イエス・キリストの受難を偲ぶ日である聖金曜日の前後に、この日の礼拝のために作曲されたバッハの受難曲〜《マタイ受難曲》または《ヨハネ受難曲》を演奏しており、高い人気を誇る。なかでも《マタイ受難曲》の演奏回数は飛び抜けて多く、この4月17日はにミューザ川崎でも演奏するが、それで97回目になるという。けれど「飽きるどころか、いつも新しい発見がある」(鈴木氏)のが《マタイ受難曲》という作品なのだそうだ。
以下、当日の内容をレポートする。チケットを買えなかった方、都合がつかなくて来られなかった方、講演会は念頭になかったが鈴木氏の解説を通じて《マタイ受難曲》をより知りたい方々に、多少なりともお役に立てれば幸いである(内容はほとんどが鈴木氏の発言だが、理解を助けるために筆者が補足した部分もあることも付け加えておく)。

講演はスライドによる説明と、ポジティフオルガンによる演奏を交えて行われた

「受難曲」の歴史

そもそも「受難曲」は、イエス・キリストが十字架にかけられた「聖金曜日」の礼拝において、イエスの受難を偲んで演奏されるもの。盛んになるのは中世後期以降だが、それにはイエス・キリストの「受難」に関するイメージの変化がある。絵画作品を見ればわかるが、中世までは、十字架上のキリストは苦しみのない、「勝利するキリスト」として描かれていた。それが「苦しみのキリスト」へと変化するのは、十字軍遠征後のこと。キリストは「統治者、全能の主」という教義的なイメージから抜け出て同情、共感の対象となり、イエスの苦しみを共有して、イエスに倣って生きたいという思想が生まれてくる。その受け皿として「受難曲」はうってつけだった。バッハの《マタイ受難曲》もまた、十字軍以後に成立した「苦しみのキリスト」というイメージを受け継いでいる作品である(ちなみに鈴木氏自身はカルヴァン派だが、カルヴァン派では「イエスは勝利している」という考えなので、受難曲のようなイエスの苦しみを味わう音楽はない、ということに触れておられたのも印象的だった)。
音楽のジャンルとしての「受難曲」は、聖書(福音書)の受難記事を朗読=実際は「朗唱」=したことに始まる。基本的に一つの音を朗唱するのだが、人物によって音の高さを変えたりするようになり、さらにそこに色々な要素が加わるようになった。テキストは、一つの福音書に基づくスタイルと、全部の福音書から抜き出す形の2種類あり、後者は主にカトリックの受難曲で用いられた。宗教改革によって成立したいわゆるプロテスタント教会の受難曲は、一つの福音書に基づく前者のタイプがほとんどである。
周知のように、バッハはプロテスタントの「ルター派」教会に属するが、バッハの頃のルター派の受難曲は、「オラトリオ風受難曲」と呼ばれる形式が主流だった。これは福音書の受難記事に、コラール(讃美歌)と自由詩楽曲(合唱、アリアなど)を加えた、かなり大規模なもの。バッハの現存する2つの受難曲は、その好例である。
とはいえ受難曲の本質的な意義、機能は、「聖書朗読」にある。聖金曜日の礼拝では、普段の礼拝には欠かせない「聖書朗読」が行われないが、それは「受難曲」の中で聖書朗読を行うからなのだ。

マタイ受難曲が初演された聖トーマス教会

マタイ受難曲が初演された聖トーマス教会 ©加藤浩子

バッハの受難曲の特徴〜テクストと音楽の三重構造

バッハの現存する2つの受難曲、《マタイ時受難曲》と《ヨハネ受難曲》は、それぞれ『マタイによる福音書』『ヨハネによる福音書』の受難記事に基づいている。2作とも、バッハのライプツィヒ時代(1723-1750)に成立しており、《ヨハネ》は1724年、つまりバッハがライプツィヒに来て(1723年5月に移住)初めての聖金曜日に聖ニコライ教会で初演され、《マタイ》はその3年後、1727年の聖金曜日に聖トーマス教会で初演された。どちらもバッハの生前に何度か再演されているが、《マタイ》の場合は1736年の改訂再演の際の自筆スコアがそっくり残っており、現在の上演のほとんどはこのスコアに基づいて行われる。一方《ヨハネ》は完全な形で残されているスコアがないので、上演にはより困難を伴う。
2つの受難曲の大きな特徴は、(「オラトリオ風受難曲」という形式からくる)「三重構造」である。
テクストは前述のように、①聖書朗読、②自由詩、③コラールという3つの要素で構成される。自由詩はバッハと多くの作品を共作しているピカンダーが作詞し、コラールはバッハが選択した(後述するが、コラールがバッハの考えで選ばれていることは、作品の根幹に関わる大変重要なことである)。この3つのそれぞれを、①(エヴァンゲリストによる朗読部分以外で)合唱とオーケストラ、②ソリスト、③合唱とオーケストラという3つの編成で演奏していくのである。
バッハの受難曲では、「時間的構造」も三重になっている。聖書の記述は「聖書の時代」を、自由詩は「バッハの時代」を、ルターの宗教改革によって生まれ、現代まで歌い継がれているコラールは「現代」の時制を持っている。この3つの時代のどれに思いを馳せるか。それも、バッハの受難曲が伝えるメッセージの一つである。
さらに《マタイ受難曲》には、《ヨハネ》にはない大きな音楽的特徴がある。合唱、楽団、ソリストが二手に分けられていることだ。この場合の「ソリスト」は、ソロの部分だけを歌うのではなく合唱部分も歌い、「コンチェルティスト」と呼ばれる。対して、合唱にだけ参加する歌い手は「リピエニスト」と呼ばれる。
二つの演奏グループが指定された《マタイ受難曲》の上演に関する「謎」は、聖トーマス教会のどこで演奏されたのか、ということだ。この問題についてはまだ決着がついていない。聖トーマス教会はバッハ当時と今では構造が違っており、当時の構造を正確に知ることはできないし、どのオルガンが使われ、どこに置かれたかもわかっていない(この下りで、聖トーマス教会の現在の内部の写真や、当時の図版などが示された)

聖トーマス教会、聖歌隊席から祭壇を見る

聖トーマス教会、聖歌隊席から祭壇を見る ©加藤浩子

冒頭合唱曲や名場面における三重構造

「三重構造」は、全曲のさまざまな場面で打ち出されている。その例を、冒頭合唱曲と、有名な「ペテロの否認」の場面で見てみることにする。
《マタイ受難曲》の冒頭合唱曲は、開幕曲として画期的だ。ふつう第1曲は、これから始まる出来事を説明する役割を担うのだが、この曲は全曲の構造が凝縮されたダイジェスト版とでもいうべきものになっており、三重構造も提示されている。つまりこの曲は、第1合唱と第2合唱があらわすシオンの娘の対話、そして「神の小羊」を歌うコラールと、3つのグループによって歌われるのである。
さらにこの冒頭曲には、全曲を貫くキーワードも散見される。たとえば第1合唱に出てくる「忍耐(=キリストの忍耐を指す)」という言葉は、第35曲のテノール・アリア〈耐え忍ぼう〉に継承されるのである。

No.1 Kommt, ihr Töchter, helft mir klagen(Chorus)
No.35 Aria: Geduld, Geduld! (Tenor)

次に、有名な「ペテロの否認」の場面の「三重構造」を見てみる。ペテロがイエスを「知らない」と、3度否認する場面だ。
まずこの場面全体が、レチタティーヴォ(第38曲)、アリア(第39曲)、コラール(第40曲)という、3つの曲、3つの様式で構成されている。
ペテロが三度目に「そんな人は知らない」と否定する部分の音楽は、続くエヴァンゲリストの言葉「するとすぐ、鶏が鳴いた」で再現される。さらに、続く有名なアリア〈憐れみたまえ〉でも、同じ音楽が再現されるのだ。3つの楽曲に同じ旋律が現れるのは、バッハの緊密な音楽構造の証である。
この場面を締めくくるコラールは、極めて静謐なキャラクターを持っている。このコラールは現代の時制として歌われ、現代に生きる我々は、ペテロの慟哭、悔い改めを自分達のものとして受け止めるのだ。
レチタティーヴォを挟んで歌われる第42曲のアリアは、第39曲と対になる曲である。ユダの死の後で歌われる曲だが、「イエスを返せ」と大祭司に迫ることも的外れだし、深刻な内容なのに明るく元気のいい音楽であることも奇妙だ。このようなチグハグさを通じて、バッハは私たちもいつユダのようになるかもしれない、という戒めを伝えているのである。

No.38 Recitative and Chorus: Petrus aber saß draußen im Palast (Evangelist, Ancilla I, Petrus, Ancilla II, Chorus)
No.39 Aria: Erbarme dich (Alto)
No.40 Chorale: Bin ich gleich von dir gewichen
No.42 Aria: Gebt mir meinen Jesum wieder (Bass)

※その2に続く

公演情報


バッハ・コレギウム・ジャパン J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244
2022年4月17日(日) 16:00開演

指揮:鈴木 雅明
ソプラノ:ハナ・ブラシコヴァ、中江 早希
アルト:ベンノ・シャハトナー、青木 洋也
エヴァンゲリスト(福音史家):トマス・ホッブス
テノール:櫻田 亮
バス:加耒 徹、渡辺 祐介
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

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【3.11】忘れてはならない思いを、音楽に込めて—第8回 被災地復興支援チャリティ・コンサート開催

2022.03.07From_Muza


ミューザ川崎シンフォニーホールは、今年も「被災地復興支援チャリティ・コンサート」を開催します。東日本大震災の記憶を風化させることなく、祈りの音楽とともに被災地へ想いを届けます。
本公演のチケット収入と同額および会場の募金箱に寄せられた全額を、内閣府の「東日本大震災義援金」へ寄付いたします。

東日本大震災の記憶を風化させないために
 震災からちょうど10年が経った2021年3月に行われた調査において、震災の記憶の風化を“感じる”人が29%、“やや感じる”が54%となり、8割以上の方が風化を感じていると報道されました(ウェザーニュース「減災調査2021」)。ミューザ川崎シンフォニーホールは、この震災で甚大な建物被害を受け、その復旧のために川崎市民やオーストリア・ザルツブルク音楽祭をはじめ国内外の多くの個人・団体の皆様からご支援をいただきました。
3月11日はミューザ川崎シンフォニーホールにとって忘れてはならない日であり、音楽とともに震災犠牲者の皆様を追悼し、音楽を愛する多くの皆様のご支援に感謝し、また災害の復興に貢献するためにチャリティ・コンサートを開催しています。
 コンサート中、地震発生時刻にあわせて黙とうを行います。

パイプオルガンと12本のチェロによる荘厳な響き
 パイプオルガンの演奏は、ミューザ川崎シンフォニーホール・アドバイザーを務める松居直美氏が出演します。
 チェロアンサンブルは山崎伸子氏を筆頭に、昨年11月にジュネーブ国際チェロコンクールで日本人初優勝を果たしたばかりの上野通明氏まで日本のトップチェリスト12名が集結します。秋山和慶氏の指揮により、オルガンとのコラボレーションによるモーツァルト作曲「アヴェ・ヴェルム・コルプス」や、チェロアンサンブルによりチャイコフスキー作曲「弦楽のためのセレナーデ」から《ワルツ》ほかを演奏します。


2021年3月11日 第7回被災地復興支援チャリティ・コンサートで黙とうをささげる様子 撮影:青柳聡

第8回被災地復興支援チャリティ・コンサート~オルガンとチェロで奏でる祈り~

日時
2022年3月11日(金) 14:30開演
出演
指揮:秋山和慶
オルガン:松居直美
司会:山田美也子
チェロアンサンブル:
山崎伸子、菊地知也、向山佳絵子、長谷川彰子、
大友 肇、横坂 源、藤原秀章、矢部優典、
上野通明、水野優也、森田啓佑、築地杏里

曲目
J.S.バッハ:前奏曲 変ホ長調 BWV552/1
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
J.S.バッハ:シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 BWV1004から)
チャイコフスキー:弦楽のためのセレナーデから ワルツ
ほか

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出演者プロフィール

パイプオルガン
松居直美 
国立音楽大学、同大学院修了。西ドイツ国立フライブルク音楽大学演奏家コース卒業。第21回ブダペスト国際音楽コンクールほか、多くのコンクールで優勝。文化庁海外特別派遣生としてオランダへ留学。国内および欧州・アジア各地でリサイタル出演、オーケストラとの共演、国際コンクールの審査員等、その活動は多岐に渡る。「J.S.バッハ:ライプツィヒ・コラール集」で文化庁芸術祭レコード部門優秀賞。長年に渡りオルガンのコンサート企画、啓蒙活動にも積極的に取り組み、その功績が認められ、下總皖一音楽賞受賞。現在、ミューザ川崎シンフォニーホール・アドバイザー、(一社)日本オルガニスト協会会員、日本オルガン研究会会員、聖徳大学音楽学部教授。

チェロアンサンブル
山崎伸子 
第44回日本音楽コンクール・チェロ部門第1位。文化庁海外派遣研修員として、2年間ジュネーヴでピエール・フルニエに師事。
 2007年から10年にわたりチェロ・ソナタ・シリーズを開催。2017年度からフィリアホールにて山崎伸子プロデュース「未来に繋ぐ室内楽」と題し、優秀な若手演奏家の紹介と室内楽を共演するシリーズを開催するほか、2019年11月には「J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲」全曲演奏会を行った。
 現在、桐朋学園大学特任教授、東京藝術大学名誉教授。使用楽器はヒエロニムス・アマティ 1641年製。

菊地知也 
第60回日本音楽コンクール第1位、併せて増沢賞、特別賞受賞。第4回日本室内楽コンクール第1位、併せて東京都知事賞受賞。第1回全日本ビバホールチェロコンクール第1位。紀尾井ホール室内管弦楽団、アンサンブル・ノマド、アクロス弦楽合奏団、カルテット・プラチナム等のメンバー。桐朋学園大学、桐朋学園芸術短期大学の非常勤講師。現在、日本フィルハーモニー交響楽団ソロ・チェリスト。一般財団法人日本チェロ協会理事。

向山佳絵子 
東京藝術大学を経てドイツ・リューベック国立音楽大学留学。第54回日本音楽コンクール第1位、第10回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール第1位、1987年度アリオン賞審査委員奨励賞、第2回出光音楽賞受賞。ギトリス、アルゲリッチほか世界の一流演奏家や、N響、都響他国内外の主要オーケストラと共演。現在リサイタル、室内楽、公演プランナー、京都市立芸術大学准教授など日本を代表するチェロ奏者の一人として活躍中。

長谷川彰子
愛知県立芸術大学を首席で卒業。第77回日本音楽コンクール第3位。2010年9月よりロームミュージックファンデーションより奨学金を受け渡独。ライプツィヒ音楽演劇大学修士課程を最高点で卒業。2013年東京芸術大学修士課程首席修了。
これまでに中島顕、天野武子、河野文昭、山崎伸子、ペーター・ヘルの各氏に師事。九州交響楽団チェロ首席奏者を経て、現在新日本フィルハーモニー交響楽団チェロ首席奏者を務める。

大友肇 
弦楽四重奏団「クァルテット・エクセルシオ」メンバーとして、年間60公演以上行っている。‘96大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門第2位。‘00パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール最高位。’09年第19回新日鉄音楽賞「フレッシュアーティスト賞」受賞。‘14年齊藤秀雄メモリアル基金賞、ホテルオークラ音楽賞受賞。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団客員首席奏者。紀尾井室内管弦楽団メンバー。日本チェロ協会評議員。

横坂源 
1986年生まれ。桐朋学園女子高等学校(男女共学)、ドイツのシュツットガルト国立音楽大学とフライブルク国立音楽大学で学ぶ。13歳で、東京交響楽団と出身地である新潟での初協演を果たしソリストデビュー。15歳で全日本ビバホール・チェロコンクール最年少優勝、2010年にはミュンヘン国際音楽コンクールで第2位入賞。NHK「クラシック倶楽部」、「FM名曲リサイタル」、テレビ朝日「題名のない音楽会」ほか、メディアへの出演も多い。

藤原秀章
南アルプス市出身。東京藝術大学附属高校を経て、同大学、大学院を卒業。ビバホール・チェロコンクール第1位、聴衆賞。他、マルクノイキルヘン国際器楽コンクール、日本音楽コンクール、東京音楽コンクールなどに入賞。ソリストとして、国内外の多数のオーケストラと共演。これまでに桑田歩、山崎伸子、中木健二、石坂団十郎の各氏に師事。CHANEL Pygmalion Daysアーティスト。現在、ベルリン芸術大学に在籍。

矢部優典
8歳よりチェロを始め毛利伯郎氏に師事。第86回日本音楽コンクールチェロ部門第2位及びE.ナカミチ賞受賞。
第69回全日本学生音楽コンクール高校の部第1位及び日本放送協会賞受賞。これまでに宮崎国際音楽祭、サントリーホールARKクラシックス、リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」等に出演。
桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマ・コース修了。現在、サントリーホール室内楽アカデミー第6期フェロー。

上野通明
パラグアイ生まれ。5歳よりチェロを始め、幼少期をスペインで過ごす。2009年、13歳で第6回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクールにて日本人初の優勝。10年第6回ルーマニア国際音楽コンクール最年少第1位。12年第10回東京音楽コンクール第2位。14年第21回ヨハネス・ブラームス国際コンクール第1位。18年第11回ルトスワフスキ国際チェロコンクール第2位。2021年ジュネーブ国際コンクール第1位。

水野優也
第89回日本音楽コンクールチェロ部門第1位及び増沢賞、岩谷賞(聴衆賞)、黒栁賞、徳永賞。第13回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞。ソリストとして、東響、東京フィル、日本フィル、読響、大阪響などと共演。現在、ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学にてミクローシュ・ペレーニ氏に師事。ジャパン・ナショナル・オーケストラメンバー、シャネル・ピグマリオン・デイズ2020/2021参加アーティスト。

森田啓佑
高校2年時に第68回全日本学生音楽コンクールおよび第83回日本音楽コンクールを史上初めて同年に制する。品のよい透明感ある音色と豊かな抒情性を高評され第27回青山音楽賞新人賞、第45回日本ショパン協会賞を受賞。桐朋学園大学を首席で卒業。現在は、優秀者に贈られるドイツ国家奨学金を得てザール音楽大学大学院に在籍。ジャパン・ナショナル・オーケストラのコアメンバー。関西ゆかりの楽師の家系で、東儀俊慰(としやす)を高祖父に持つ。

※チェロアンサンブルに当初出演を予定しておりました香月 麗 氏は、新型コロナウイルス感染症に係る入国制限により、出演することができなくなりました。代わって、築地 杏里 氏が出演いたします。

グラスハープの神秘の音色―幻のモーツァルト作品を聴く!

2022.02.28From_Muza , From_Muza , クラシック豆知識


グラスハープという楽器について、「ワイングラスに水を入れて音が鳴る」という知識はあっても、実際に生の音を聴いたことがある方はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか?

さる2月15日に開催した「MUZAランチタイムコンサート」では、グラスハープとギターによるコンサートをお届けしました。

グラスハープとギターの演奏
グラスハープ:大橋エリ ギター:後藤郁夫

グラスハープは、ワイングラスの縁を濡れた指でこすって演奏する楽器。
グラスの大きさでおおむね音階に並べ、水の量で調律するそうです。
「お水を入れて演奏するのがグラスハープだと思われがちですが、実は空の状態が一番よく鳴るんですよ」(大橋さん)と意外な事実も。
「グラスハープ」という、楽器用のワイングラスがセットで販売されているのかな?なんて思っていたのですが、どうもそうではなく、大橋さんが自ら1つずつワイングラスを収集し、演奏曲に合うようにコーディネートしているのだそう。

おそらくほぼ全員のお客様が、グラスハープを聴くのは初めての体験。
「目を瞑っていると、天から音の粒が振ってくるようだった」
「癒し効果がすごい」

など、その繊細な音色をうっとりと楽しまれた方が多かったようです。

このグラスハープという楽器は中世ヨーロッパで流行し、モーツァルトもグラスのための曲「グラスハーモニカのためのアダージョとロンド ハ短調 K.617」を書いています。

グラスハーモニカ(アルモニカ)は、グラスハープと音を出す仕組みは同じですが、より機能的に改良された楽器です。
発明と命名は、雷が電気であることを発見したり避雷針の発明で有名な、あのベンジャミン・フランクリン。
このグラスハーモニカのストーリーもなかなか興味深いので、もしよろしければこちらを。
アルモニカ(Wikipedia)

「グラスハーモニカのためのアダージョとロンド」は、モーツァルト最晩年の1791年に作曲されました。
当時人気を博していた盲目のグラスハーモニカ奏者マリアンネ・キルヒゲスナーのために書かれたとされています。

今週末3月6日の「モーツァルト・マチネ」では、この曲を大橋エリさんと東京交響楽団メンバーとの演奏でお贈りします。
実は2020年5月に演奏予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言によりやむなく中止に・・・。
今回、やっと皆様にお届けすることができます!


公演中止となった2020年5月、ソロパートのみを収録した大橋さんの演奏です!

この曲は五重奏曲で、東京交響楽団の木管・弦楽器奏者との共演となります。
(フルート:相澤政宏、オーボエ:荒木奏美、ヴィオラ:西村眞紀、チェロ:伊藤文嗣)
本番に向けて、大橋さんがグラス選びをされている様子がブログにアップされています。
1グラス=1音ですから、音の移動は本当に難しそう!グラスの高さが違うだけでも演奏の難易度があがりそうですね。
実演の機会は本当に貴重です!繊細な響きを、ぜひミューザでお聴きください。

公演情報・購入はこちら

写真撮影:藤本史昭

公式facebookページ

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ミューザ川崎シンフォニーホール

TEL044-520-0200

(10:00~18:00/土・日・祝も営業)

定休日:
年末年始12/29~1/3
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