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ベートーヴェンと弟子チェルニー ~かげはら史帆のベートーヴェンコラムvol.7~

2020.07.21サマーミューザ , 特別企画!かげはら史帆のベートーヴェンコラム


『ピアノ協奏曲第1番』の決定稿が書かれた1800年ごろ。
30歳のベートーヴェンは、ある少年の弟子入り志願を受け入れました。

 少年の名はカール・チェルニー、当時10歳になるかならないか。ピアニストとしてサロンを荒らし回っていたベートーヴェンの噂を聞きつけ、すっかり大ファンになってしまった少年は、父親に連れられて彼のもとを訪ねます。若者の指導にはあまり興味のないベートーヴェンでしたが、少年の才能を認めて入門を許可。レガート奏法をはじめとする最新技術を教え込みました。
 当時のベートーヴェンはすでに耳の病に悩まされていました。そんな時期に弟子を取ったのは、自らのピアニストとしての将来について思うところがあったからでしょうか。彼の予感は当たります。『ピアノ協奏曲第4番』までは自力で演奏をやり遂げましたが、『第5番「皇帝」』をウィーンで初お披露目する際には、ついに演奏を自分以外のピアニストに譲る決断をします。そのとき白羽の矢が立ったのが、20歳の青年になっていたチェルニーでした。

 残念ながらこのときの演奏会の評判はかんばしくなかったと伝えられています。しかしその後も師弟の縁は続き、チェルニーは自宅の音楽会で師のソナタを何度も披露し、またリストのような優れた弟子にベートーヴェンのピアニズムを伝授しました。ベートーヴェンのピアノ作品の創作と発表は、弟子によってひそかに支えられていたのです。

(かげはら史帆/ライター)

「特別企画!かげはら史帆のベートーヴェンコラム」関連コラムはこちら

かげはら史帆
東京郊外生まれ。著書に『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(柏書房)『ベートーヴェンの愛弟子 フェルディナント・リースの数奇なる運命』(春秋社)。ほか音楽雑誌、文芸誌、ウェブメディアにエッセイ、書評などを寄稿。
https://twitter.com/kage_mushi

ベ ートーヴェンに曲を捧げられたサリエリ ~かげはら史帆のベートーヴェンコラムvol.8~

2020.07.21サマーミューザ , 特別企画!かげはら史帆のベートーヴェンコラム


『交響曲第1番』が書かれはじめた1799年。
28歳のベートーヴェンは、ウィーンの宮廷楽長にある作品を献呈しました。

 宮廷楽長の名はアントニオ・サリエリ。映画『アマデウス』ではモーツァルトの才能に嫉妬の炎を燃やした凡才音楽家として描かれていますが、このキャラクター設定はあくまでもフィクション。実際は、モーツァルトをしのぐ勢いで活躍し、『ダナオスの娘たち』『タラール』などのヒット作を世に送り出したオペラの大家でした。
 ウィーンの楽壇のトップに君臨するこの先生に、若いベートーヴェンが作品を献呈したのは、おそらくある種の戦略にもとづいてのことでした。当時のベートーヴェンは、ピアニストとしてはすでに有名でしたが、作曲家としてはまだ駆け出しで、交響曲もようやく書きはじめたばかり。献呈の許可を受け、出版譜の表紙に「宮廷第一楽長 サリエリ氏へ献呈」と明記すれば、音楽ファンから注目されるに違いない……!
 
 かくして、サリエリへの献辞とともに世に送り出された作品。それが『3つのヴァイオリン・ソナタ』(作品12)でした。若い作曲家の野心と才能を、サリエリは好意的に受け取ったのでしょう。その後、ベートーヴェンにイタリア歌曲の指導をおこなっています。ベートーヴェンの作曲家としてのステップアップの陰にサリエリがいたことは、もっと知られてもしかるべきでしょう。

(かげはら史帆/ライター)

「特別企画!かげはら史帆のベートーヴェンコラム」関連コラムはこちら

かげはら史帆
東京郊外生まれ。著書に『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(柏書房)『ベートーヴェンの愛弟子 フェルディナント・リースの数奇なる運命』(春秋社)。ほか音楽雑誌、文芸誌、ウェブメディアにエッセイ、書評などを寄稿。
https://twitter.com/kage_mushi

ほぼ日刊サマーミューザ2020はオンラインで発行します!

2020.07.20サマーミューザ , ほぼ日刊サマーミューザ , サマーミューザ


毎年大好評! サマーミューザの期間限定日刊紙「ほぼ日刊サマーミューザ」は、今年も期待にお応えして発行いたします。ただし、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、今年は主にオンラインでの発刊となります。
このページに最新号およびバックナンバーを掲載するほか、こちらからオンライン版の一覧をご覧いただけます。

ほぼ日刊サマーミューザ コンテンツ紹介

〈コンサートレビュー〉
プロカメラマンによる公演写真と名だたる音楽評論家・音楽ライターの皆様のご協力による最速レビューをお楽しみに。
〈パートナーショップ グルメレポート〉
ミューザの制作、広報、管理、舞台、受付、チケットセンターなどあらゆる部署のスタッフが執筆しています。
〈お客様の声から♪〉
じつは隠れた人気コーナー、アンケートでお寄せいただいた公演の感想を掲載しています。
※今年のアンケートはWEBからお送りください。フォームはこちら→フェスタサマーミューザKAWASAKI2020アンケートページ

バックナンバー

~ 随時更新していきますので、どうぞお楽しみに! ~
7/23 第1号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0723 紙面版
7/24 第2号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0724 紙面版
7/25 第3号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0725 紙面版
7/26 第4号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0726 紙面版
7/28 第5号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0728 紙面版
7/29 第6号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0729 紙面版
7/30 第7号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0730 紙面版
8/1 第8号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0801 紙面版
8/2 第9号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0802 紙面版
8/4 第10号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0804 紙面版
8/5 第11号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0805 紙面版
8/6 第12号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0806 紙面版
8/7 第13号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0807 紙面版
8/8 第14号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0808 紙面版
8/9 第15号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0809 紙面版
8/10 第16号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0810 紙面版
8/11 第17号 オンライン版 ほぼ日刊サマーミューザ0811 紙面版

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