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歳をとると音楽の聞こえ方は変わる?

2021.09.15From_Muza , From_Muza , コンサートレビュー


自分の耳は老化しているのか? 音楽鑑賞をされる皆様には気になるトピックですよね。
最近、「耳年齢」の判定ができるサイトがTwitterやネットニュースで話題となっています。

サイトはこちら。
https://panasonic.jp/hochouki/download/dagehg/hearing2.html

このサイトはパナソニックの補聴器普及促進用に作られたものだそうですが、一般の方がTwitterで投稿したことで様々な年代層の方がトライして話題になりました。

今年3月に開催した「MUZAミュージックカレッジ」では、作曲家で早稲田大学教授の菅野由弘さんが「聴こえる音の摩訶不思議な世界」と題して講義を行いました。
その中で、実際に可聴域といわれる音(20Hz〜20000Hz)がどこまで聞こえるかという実験を行ったのです。
「耳年齢」でも話題になっているのは、高周波が聞こえなくなるという事実。果たして・・・?

周波数の高さが上がっていくと、だんだん、手が挙がらなくなっていきます。最後に残ったのは20代のスタッフでした。
なお、菅野さんは毎年大学生でテストをするそうですが、20000Hzまで聞こえたのはこれまで1名しかいなかったとのことです。
人類は加齢によってピッチ(音程)が上がっていくので、絶対音感保持者の菅野さんも、現在では、ほぼ半音高く聞こえるそうです。
絶対音感保持者の菅野さん自身が、絶対音感が狂ったと確信したのは、学生の曲をSkypeで聞いて、評価、アドヴァイスしていたところ、「なんでこんな弾きにくい調で書くのだろう?」と疑問に思ったその瞬間、「理工学部の学生が、こんな調で作曲するはずがない。これは自分の耳の方がおかしい」と気づいたそうです。半音高く聞こえていたことに、ショックを受けたとの事でした。
この実験を通して、「聞いている音は一人ひとり違う」ということを実感していただきました。
また、身体的なことだけでなく、聞こえ方は環境の影響も受けます。たとえばパイプオルガンの重低音はパソコンでは聞こえないし、マスクをすることも吸音材を耳の近くに置いているのと同じなので、ホールの中ではコロナ以前と聞こえる音が変わっている可能性がある。同じ音を聞いているつもりでも身体や環境によって聞こえ方が変わる、という事実は、自分ではなかなか確かめようがないことなので、非常に興味深いお話でした。

この日は東京交響楽団のファゴットセクションによる演奏をお楽しみいただきました。
(出演:福井 蔵、福士マリ子、坂井由佳、前関 祐紀)
なかなかじっくり聴く機会のないコントラファゴットも2本登場し、ファゴットが林立する楽しいステージに。

コントラファゴットは木管の最低音楽器。最高音はもちろんピッコロ。
では、この2つの楽器でデュオをしたらどうなる!?という実験的な新曲をこの日のために作曲していただきました。
現代作品から大河ドラマ「炎立つ」など数々の劇伴作品なども手掛ける大巨匠の菅野先生に「八百屋が来たから野菜ちょうだいという気軽さでミューザのスタッフに作曲を頼まれまして」とトークでばらされ(冷汗)、作っていただいた曲は題して「象とゾウリムシ」。ピッコロ演奏は東京交響楽団フルート&ピッコロ奏者の高野成之さん。

地を這うような低音と、耳をつんざくような高音。音域が違いすぎて、チューニングすらお互い合ってるのかどうなのか?という状態!
貴重な鑑賞体験でした。再演はあるのでしょうか!?

さて、周波数のお話しに戻ります。
高周波の音が聞こえなくなってくるということは、聞こえる音がどんどんマイルドに、柔らかくなっていくということ。
「最近あのオーケストラは音が変わったね」「このホールは建設から何年も経って音がマイルドになった」
お客様からそんな感想もよく聞きます。しかし、昔聞いた音と今聞こえている音が違うのは、もしかすると自分自身の音の聞こえ方が変わってしまった面が大きいのかも・・・? 改めて考えるとちょっとショックなお話かもしれません。

しかし、菅野さんは加齢によって耳の機能が変わったり、他の人と聞こえ方が違うということをネガティブにとらえる必要はないと語ります。人間はそれぞれ違う音の世界に生き、違う感性で音楽を受け取り、一人一人に違う感動があるのです。その違いこそが音楽でいう「共有」であり、「共有」が同じ体験を意味しないことこそが芸術のすばらしさである—講義の最後に語られたお話に耳から、、いや目からうろこが落ちました。

聞こえ方は人それぞれ、なんなら年齢によって音の世界は変わっていくもの。
その音世界の中で、自分が素敵だと思う音を見つける体験こそが音楽鑑賞であり、形を変えながら一生付き合える素晴らしい趣味だと言えるのではないでしょうか。

次回のMUZAミュージックカレッジは2022年1月~3月に開催予定。
また「聴く」ことについての科学的なアプローチのお話も予定しています。
10月中旬に詳細を発表します。どうぞお楽しみに!

ほぼ日刊サマーミューザ2021 こちらからお読みいただけます

2021.08.08サマーミューザ , ほぼ日刊サマーミューザ , サマーミューザ


毎年大好評! サマーミューザの期間限定日刊紙「ほぼ日刊サマーミューザ」は、今年も期待にお応えして発行いたします。
今年はこちらのページに最新号およびバックナンバーを掲載いたします♪

▶ほぼ日刊サマーミューザ2021 コンテンツ紹介
〈コンサートレビュー〉
プロカメラマンによる公演写真や名だたる音楽評論家・音楽ライターの皆様のご協力による
最速レビューをお楽しみに。

〈パートナーショップのグルメレポート、スタッフ日誌、etc.〉
裏面はサマーミューザやコンサートをもっと楽しむコンテンツ。それぞれの記事はミューザの制作、広報、管理、舞台、受付、チケットセンターなどあらゆる部署のスタッフが執筆しています。

〈夏音クイズ〉
ミューザやサマーミューザ出演者から毎日Twitterで出題。
これを見ればサマーミューザがもっと楽しくなるかも?
何問解けるか挑戦!

バックナンバー(PDFファイルが別ウィンドウで開きます)

7月22日_第1号(みんな大好き夏音号)1.7Mb
7月23日_第2号(開幕の響きは、大いなる冒険の始まり号)956Kb
7月24日_第3号(交錯し火花を散らすクラシックとジャズ号)1.8Mb
7月25日_第4号(ボレロで圧倒的大団円!号)1.2Mb
7月26日_第5号(金メダル級スーパープレイ号)1.1Mb
7月27日_第6号(圧巻の「新世界」号)1.0Mb
7月28日_第7号(鈴木雅明×読響のロシア・プロ号)1.8Mb
7月30日_第8号(川崎に吹き抜けたウィーンの風!号)1.2Mb
7月31日_第9号(若人たちの熱気あふれる舞台!号)1.2Mb
8月1日_第10号(コンビ6年の成果ここにあり!号)1.8Mb
8月3日_第11号(ミューザの夏はバッハの夏!号)1.6Mb
8月4日_第12号(神奈川フィルの力を存分に引き出す快演号)1.8Mb
8月5日_第13号(京響初登場!豊麗な古都の風号)1.9Mb
8月6日_第14号(ひさびさのマーラー 気合の大管弦楽が鳴り響く号)1.2Mb
8月7日_第15号(バッティストーニの底知れぬ情熱に大興奮!!号)1.1Mb
8月8日_第16号(心震える「エグモント」号)1.6Mb
8月9日_第17号(これを聴き逃すのはもったいない!号)1Mb
8月10日_第18号(人間から地球へ ~ 持続する「共生」を音楽で描く!号)1.5Mb

ワークショップレポート「みずいろのスマイル」ができるまで その⑤(最終日)

2021.08.08From_Muza , サマーミューザ


ワークショップレポート その1
ワークショップレポート その2 
ワークショップレポート その3
ワークショップレポート その4 から続く

7月13日(火)ワークショップ最終日

これまでの全てのワークショップの記録映像から、たくさんの素材を受け取って、ベン・セラーズがオーケストラで演奏される曲を完成させた。
出来上がった仮縫い状態の曲の楽譜を携えて、ファシリテーターの池野博子(声楽)、大松暁子(ヴァイオリン)のほか、別のグループで活動していた南條由起(ヴァイオリン)、東京交響楽団の新澤義美(パーカッション)も駆け付けた。

生徒もそろったところで、ベンがこれまでの活動をビデオにまとめていたものを、全員で視聴する。ベンがモニターの中から生徒たちに呼びかける。
「みなさんこんにちは、ベンです。僕はまだ英国にいます。こっちは、このとおり雨が降ってる。みなさんからもらった音楽を集めて、味付けをしました。塩こしょうを少々、それにハートを加えて、みなさんのケーキもね。そして、それを全部合わせて、曲をつくりました。聞いてみたい?」
ベンがコンピューターで打ち込んだ楽曲のスケッチを再生する。

映像の中から流れる、はじめて聞く自分たちの曲。
曲の中で、名前にのせた音楽、合奏での祭囃子に似たリズム、パーティでの歌、さまざまなシーンがよみがえった。
そこには、メロディやリズムだけでなく、生徒たちの表情や息づかい、教室の空気までもが音となって、隅々に織り込まれている。
生徒たちも気づいて反応する。
サキは、「さっきんきょ」のテーマを見つけて、手拍子で合いの手を入れる。

池野が「こんどは、みんなでこの曲を演奏してみようよ」と呼びかけると、「ええ~!?」と驚きながらも、生徒たちの目は輝いている。
それぞれがトーンチャイムや、太鼓、iPadを手に合奏の練習をした。
準備をして、息をあわせて、タイミングをみて、皆で、きれいな音を一緒に鳴らすのは楽しい。音楽家と生徒、先生によるアンサンブル、中央支援オーケストラだ。

楽曲について意見を出し合い、相談してタイトルは「みずいろのスマイル」になった。テーマカラーは水色だ。
こうして、中央支援学校の生徒と先生、音楽家のアイデアがひとつの形になった。

高校3年のメンバーは、卒業後の進路にむけた職業実習や研修などで欠席することもあった。
まもなく夏休みを迎える生徒達、音楽とともに過ごした放課後の思い出は、彼らのなかにどのように残るだろうか。

そして、ファシリテーターにとっても、このワークショップは大きな経験となった。
英国で四半世紀にわたり障害のある人の音楽活動をサポートしてきたドレイク・ミュージックとは違い、日本ではまだまだこうした活動は始まったばかりだ。
8月9日にこの「みずいろのスマイル」を含む「かわさき組曲」が、東京交響楽団によりお客さんの前で演奏される。
この音楽がどのように受け止められるのか、楽しみでならない。

★ファシリテーターからの感想

・池野博子

 中央支援学校の子どもたちはとても活発で、Day1の時点で私たちの想像を超えるポテンシャルを発揮してくれました。その後もDay4までの間に私たち音楽家と関係性を築き一緒に音楽を作ることができ、「鑑賞」というあまり動きがないアクティビティにおいても、曲から想起した自らの感情を言葉にしたり、AIDAに登場する人物に(=自分以外の他者)想いを馳せ、理解しようと努めていました。このことはその場にいた音楽家のみならず、スタッフも全員が驚いた瞬間でした。
 子どもたちは様々な「初めて」に遭遇していたと思います。子どもたちが泣きだしてしまう場面もあり最初は戸惑ってしまったのですが、だんだんこれが彼らの「今まさに乗り越えようとしている反応なのではないか」と思えるようになってきました。もちろん先生方がフォローしてくださっている安心感があってこそこのように感じられるようになったのですが、じっくり待ってみると泣いていた子どもたちが一転して「がんばる」と言って前に進もうとしていました。それを見て私も守りに入らずチャレンジしようと決めました。このことで、以前だったら「間違えたらどうしよう」とか「上手くいかなかったらどうしよう」と二の足を踏んでしまうようなところを迷うことなくリードしたり、音にしたりすることができたように思います。それを繰り返すうちに自分の中で何か自由を獲得したような、そんな気持ちになっています。
 例えば、最終日にサポートに入った学校では私はピアノと歌を担当していました。ワークショップ終了時に薄くピアノでビートを刻んでみました。それはワークショップが行われていた音楽室から廊下に出たときにまるで線を引いたように別の世界へ戻っていくのではなく、その境界線を曖昧にするようなグラデーションの時間を作りたいと考えたからです。そこに同じくサポート役をしていたヴァイオリンが加わってくれました。すると一人の子どもが太鼓のところに行って演奏し始めたのです。そして自然な即興のセッションがはじまりました。これはドレイク・ミュージックが初めて日本でワークショップを行ったときにも起こったことでした。その時はその場にいた全ての音楽家や参加者、スタッフが一体となって感動的な演奏になっていった、今も忘れることができない体験なのですが、それと同じ事を自らの働きかけによって実現することができました。以前の私は即興に対して心理的ハードルを感じていましたが、5回のワークショップを通してそれを乗り越えることができたのかもしれません。

・大松暁子

 最後のワークショップを終えて、一番心に残っているのはみんなの笑顔です!
回を重ねる毎に、みんなの反応がどんどんよくなって、最後には素晴らしい合奏ができました。
今回はメインファシリテーターが池野さんだったので、私はサポートする側にいて、子ども達と一緒にいる事も多く、客観的にも全体を見る事ができました。
 ワークショップでは「先生」と「生徒」にしたくないと思っていましたが、どうしてもファシリテーターが先生っぽいのが気になり、なるべく私は生徒側にいるようにしていました。
目の前で目を見て接するのも大切ですし、みんなに指示を出さなくてはなりませんが、隣で寄り添う事も大切だと改めて感じ、意見を聞いたりするのも、隣で世間話しながら引き出すようにしてみました。いっぱいお話してくれて嬉しかった!
 想定外なのは、思っていた以上に子どもたちと打ち解けたこと!
 全然喋らなかった子が話をしてくれたり、目で訴えてきたり、やりたい事を教えてくれたり、嬉しかったです。


©British Council

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かわさき=ドレイク・ミュージック アンサンブル プロジェクトページはこちら

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