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ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1947年版)

2018.09.06「スパイラル」バックナンバー , 「スパイラル」バックナンバー , 名曲のツボ


ミューザ川崎シンフォニーホールと東京交響楽団がお贈りする「名曲全集」の聴きどころを演奏者の視点から語る好評連載「名曲のツボ」。今回は、東京交響楽団フルート・ピッコロ奏者の高野成之さんに、『ペトルーシュカ』の聴きどころを語っていただきました。

オーケストラそれぞれの楽器がソロで大活躍!“ペトルーシュカの死”をピッコロに吹かせる作曲家の技

フルート&ピッコロ奏者
高野成之

ストラヴィンスキーの三大バレエ「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」は、ディアギレフ率いるバレエ・リュスで上演するために作曲されました。「火の鳥」は勧善懲悪の世界、「春の祭典」は生け贄を捧げる原始宗教の物語に対して、「ペトルーシュカ」は魂を持った人形の物語。かわいらしいけれど、ハッピーエンドではないのがおもしろいところです。音楽に関しては、「火の鳥」の根底にあるのはラヴェルやドビュッシーの印象派の世界、「春の祭典」は調性がもはや重要でなくなり、さらに異なる拍子が同時に鳴るポリリズムの音楽です。「ペトルーシュカ」は作曲順だけでなく音楽的にも2作の間に位置するもので、古典派の要素が入りつつもウィットに富み、かつ美しく、とても興味深い作品です。バレエの場面転換にあたる部分で打楽器が鳴り続けるのもおもしろいですね。

聴きどころは、各楽器のソロです。ピアノが協奏曲のように活躍することは有名ですが、オーケストラの各楽器もソロで大活躍します。フルートは、人形が動き出す前のソロがかっこいいですよね。第3部のトランペットのソロもかっこいい。どの楽器のソロもかっこいいですが、ピッコロにあてがわれたソロは、ペトルーシュカの死の場面。なぜこれをピッコロが吹くのか、とても不思議です。というのは、このメロディはフルートで普通に吹ける音域なのです。そんな音域をピッコロで吹くと、よく言えば素朴な響きになり、悪く言えば音が鳴りきらない。ピッコロ吹きにとって嫌な音域なのです。「ペトルーシュカ」初演の頃のパリのフルートは、現在のシステムと変わりありませんから、ストラヴィンスキーは楽器の特性を分かってピッコロに吹かせているのです。ペトルーシュカが弱っていく姿を表現するためなのでしょう。さらに、楽譜上の指示はp(弱く)だけなので、どう表情をつけようか毎回悩みます。

「ペトルーシュカ」の冒頭はフルート2本のユニゾンによるメロディで始まりますが、実は完全なユニゾンではなく、延ばす音や下行音型は1番フルートだけで吹くようになっています。つまり、楽譜通りに吹けば音量の強弱が物理的につくので、デクレッシェンド(だんだん弱く)などの指示はありません。こんな書き方をするのはストラヴィンスキーだけ。天才ですね。

「ペトルーシュカ」といえば変拍子ですが、曲が始まって間もなく、弦楽器が4分の3拍子を奏でるなか、ピッコロ、フルート1番、オーボエ1、2番、ピアノが7連符を演奏します。この楽器だと音の立ち上がりが、ピアノ、オーボエ、ピッコロは速く、フルートは遅い。ストラヴィンスキーは知っていて書いたのでしょう、本当に絶妙なオーケストレーションです。ミューザで演奏するとさらに立体的になりますので、ぜひ注目してください。

第3部、ムーア人とバレリーナが踊るワルツではフルートとトランペットが掛け合いますが、ここは伴奏のファゴットの表現が指揮者によって変わるのでおもしろいです。続いて、フルート2本がチャーミングなワルツを吹きますが、合いの手のトランペットはまるでチャイコフスキーの「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」のパロディのよう。また、曲を通してフルートとピッコロは一緒に動くことが多く、「くるみ割り人形」の“葦笛の踊り”を髣髴とさせます。チャイコフスキーがもう少し長生きしていたら、もしかしたらこんな曲を書いていたのかも、など2人の共通点を見つけながら聴くとおもしろいかもしれません。

三大バレエを一挙に演奏する9月の「名曲全集」ではストラヴィンスキーの3作を通して、その音楽の変化と、見事なオーケストレーションをぜひ味わってください。

ミューザ川崎シンフォニーホール友の会会報誌「スパイラル」Vol.57(2018年7月1日号)より転載/取材・榊原律子

*  *  *  *  *  *  *

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第140回

【日時】2018年 9月9日(日)14:00開演
【出演】指揮:飯森範親 ピアノ:高橋優介*
【曲目】《オール・ストラヴィンスキー・プログラム》
組曲「火の鳥」(1945年版)
ペトルーシュカ*(1947年版)
春の祭典

公演詳細はこちら

プレゼン実施!~リトルミューザの活動報告

2018.08.23音の放課後プロジェクト! , リトルミューザ


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週の初め、間もなく夏休みが終わろうというこの時期に、リトルミューザのプレゼン大会が行われました。
前回のミーティングから15日ほど。それぞれに企画を考えてきました。
まずはメンバーで集まって、自分たちの企画を簡単に説明。
【写真】それぞれ、自分の企画を説明中。
初回ミーティングに来られなかったメンバーも、アイディアはまとめていたので、その場で資料を作成!
30分ほど使って、最終チェックと短いブラッシュアップを行い、いよいよプレゼンです!

ミューザ事業部長の待つ応接室へ、1人1人向かい、思い思いにプレゼンを行いました。
【写真】プレゼンの様子その1。リトルミューザメンバーが、企画を説明しています。部長も真剣に耳を傾けています。
一人目は、自分の周りでミューザの認知度が低いことを課題におき、その解決として、小さな子どもたちにとってクラシックが身近な存在になるような企画案を作成。
フィガロの結婚のメロディを、子どもが覚えやすいように編曲し、歌詞を変えて歌ったり、休憩時間にはフィガロの結婚の舞台にちなんだお菓子を食べたりすることを検討。
部長からは「フィガロの結婚が作曲され、はじめてヒットした当時の、現地での流行り方を思いだした」というコメント。
また、メンバーがきちんとリサーチしてきた上で考えた企画とプロジェクトの目的に感銘をうけていました。

【写真】プレゼンの様子その2。中学生の率直な意見に、部長も興味津々です。
二人目は、同じくミューザの認知度を上げ、「音楽のまち・かわさき」なのにクラシック音楽は知らない中高生に、オペラって意外とおもしろいよ! と伝える企画を提案。
作品についての解釈をそれぞれに分析して発表しあうワークショップや、オペラのストーリーを寸劇にしてわかりやすく紹介するイベント、川崎の街の中にある「フィガロの結婚」を探してもらうイベントを発案してくれました。
メンバーが考えたプロジェクトの目的やターゲットについての話の中で、クラシックに興味のない子にとっては、クラシックってギャグみたいにみてしまって、音楽を全然聞いていない、という話があり、部長は「確かに、そういう面はあるかも! 見方を変えると、クラシックってすごく変なことしてるよね」と同意していました。
そう感じてしまう小中学生たちに対しての企画案。
どうアプローチすればそこに届くのか、に課題が残りました。

【写真】プレゼンの様子その3。メンバーの言葉にメモを残しながら話を聞いている事業部長。
三人目は、作品の中身に特に興味を持ち、フィガロの結婚は古い作品ながら、現代でも十分に伝わる、教訓的な作品という点、それぞれのキャラクターがおもしろい!という点を伝えたいと企画を考えました。
中学生以下をターゲットに、おもしろく伝わりやすくするため、体験型のゲーム形式(謎解きゲーム的に)でフィガロの結婚のストーリーを追っていくことを提案。
このメンバーは初回ミーティングに欠席していたこともあり、企画の目的・対象者の選定理由などが他の二人に比べて弱い部分があり、早速その点を部長から指摘されていました。
しかし、モーツァルトが作曲したオペラ「フィガロの結婚」の「人間関係」と「キャラクターの面白さ」に注目した点はこの作品のおもしろさのコアな部分をつかめているね、というコメントをもらいました。

さて、三者三様のプレゼンを終え、事業部長、リトルミューザ担当スタッフ2名の合計3名で、どの企画を通すか話し合いをおこないました。
どの企画にも捨てがたいよさがあり、すべて採用したい気持ちもありましたが、どれもある程度ボリュームのある内容……。
なくなく、1案に絞って、結果発表です。
三案目の、「体験型ゲーム形式でフィガロの結婚を伝える」のプロジェクトを実行することとなりました!
【写真】実行企画発表の瞬間!自分の企画が採用されたことを知り、ガッツポーズを取るメンバー。
ミューザスタッフとしても挑戦的な部分が大きい企画ですが、今までにない発想のプロジェクトに、リトルミューザメンバーとともに立ち向かってまいります。

プレゼン後、スタッフサイドで謎解きゲームの演出などを手掛けている方にコンタクトを取り、次回ミーティングに参加いただけないか打診。子どもたちの取り組みにも興味を持っていただき、ご快諾いただきました。
次回のミーティングは9月2日です。
引き続き、応援よろしくお願いいたします!
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新プロジェクト始動!リトルミューザの活動報告

2018.08.09音の放課後プロジェクト! , リトルミューザ


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オープンハウスJACKからはや3か月。
リトルミューザの新プロジェクトが、先週末から始動しました。

毎回、メンバーの参加の仕方を変えながら進めているリトルミューザの活動。
今回のプロジェクトでは、プロポーザル形式をとります。
つまり、「やりたい企画をプレゼンして実施しよう!」という、実社会に直結するスタイル。
初回ミーティングでは、我々大人のスタッフが「どうやって企画を立てているのか?」を紹介しつつ、企画書の書き方について説明しました。
【画像】子どもたちが使う企画書フォーマット
ここで、このブログを読んでいらっしゃる皆さんに質問です。
皆さんが会社や組織、家庭の中で何かの企画を立てるとき、どうやって考えていらっしゃるでしょう?
例えば、「やりたいこと」や「やらなければならないこと」がまずあって、次にそのための手順を考える……。
例えば、「求める結果」があって、そのゴールに向かうための方法を考える……。
皆さんそれぞれに、やり方を持っていらっしゃると思います。

今回リトルミューザメンバーたちは、以下のような手順で企画を考えています。
1)プロジェクトの土台・基礎作り
・プロジェクトの目的探し
・テーマとなる作品のリサーチ
を並行して行い、自分の身の回りにある課題や気になっている社会問題と、テーマとなる作品の共通点を探してみたり、対象となる人ってどんな人なのかを考え、その人たちと作品の関連を考えてみる。

2)対象の決定と、プロジェクト案の検討
土台ができてから、中身を考えてもらいます。
目的に適した対象者は誰か、プロジェクトの結果、その人たちにどんな気持ちになってもらいたいか、そのためにどんな企画が必要で、どんなものを用意しなければならないのか……。

ひとりひとりで企画を考えるつもりで集まっていたメンバーですが、しっかり土台を作って、作品についてもリサーチをしっかり深めなければならない! と感じたのか、何人かでひとつの企画案を出すのもいいかも! という声が出てきていました。
その後、メンバーが作品のリサーチをする際の足掛かりとなるよう、今回のテーマであるオペラ「フィガロの結婚」について、マイケル・スペンサーさんと一緒に紐解いていきました。
【写真】リサーチするための「種」探し
マイケルさんは、フィガロの結婚に出てくる登場人物たちの関係性を、場面ごとに相関図でみられるようにスライドを準備してくださいました。
なかなか複雑で入り組んだ関係性とストーリー展開で、文章などで読んだだけでは、いったい誰がどうなったの???となりそうなフィガロの結婚ですが、相関図を見ながらの解説でスッキリ!
「この複雑な人間関係を考察しながら、自分たちの恋愛観を語り合うガールズトークイベントとかもできるかも!」
と、さっそく作品の中からプロジェクトのヒントも見つけ、リサーチの大切さも痛感したメンバーたち。

メンバーがホールの事業部長へプレゼンを行うのは8月20日。
どんな企画が飛び出してくるか、ご期待ください!

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